量子コンピューター実用化へ
量子コンピューティングの現状と未来
量子コンピューターの実用化に向けた動きが加速しています。2025年8月現在、世界中で様々な研究開発が進められており、近い将来、私たちの社会に大きな変革をもたらす可能性を秘めています。従来のコンピューターでは困難だった複雑な計算を高速に処理できる量子コンピューターは、創薬、材料開発、金融、AIなど、幅広い分野での応用が期待されています。
量子コンピューター開発の最新動向
光量子回路の小型化と集積化
量子コンピューターの実現方式の一つである光量子コンピューターにおいて、光量子回路を指先サイズの“板”に集約する技術が開発されています。この技術により、量子コンピューターの小型化、低コスト化、高性能化が期待され、実用化に向けた大きな一歩となります。光量子回路は、光の粒子である光子を用いて量子計算を行うため、ノイズに強く、高速な計算が可能になるという利点があります。
大規模量子ビット超伝導量子コンピューターの研究開発
富士通は、実用的な量子計算の実現に向けて、1万量子ビットを超える超伝導量子コンピューターの研究開発を開始しました。量子ビット数が多いほど、より複雑な計算が可能になります。富士通は、2020年代後半の実用化を目指しており、量子コンピューティングの普及に貢献することが期待されています。超伝導量子コンピューターは、超伝導現象を利用して量子ビットを実現するため、高い集積度と制御性が期待できます。
量子誤り訂正技術の進展
MicrosoftのKrysta Svore氏は、「幾何学的誤り訂正符号は実用化への一歩」と語っています。量子コンピューターは、外部からのノイズによって計算結果が誤る可能性があるため、誤り訂正技術が不可欠です。幾何学的誤り訂正符号は、量子ビットを空間的に配置することで、誤り訂正能力を高める技術です。この技術の進展により、より信頼性の高い量子コンピューターの実現が期待されています。
国産量子計算機の稼働
大阪大学などが、「純国産」量子計算機を稼働させました。国産の量子計算機は、国の安全保障や産業競争力の強化に貢献することが期待されています。また、国産技術の確立は、海外への依存度を下げ、独自の量子コンピューティング技術の開発を促進することにつながります。
参考サイト