日記を読んでいると、背後に何か気配を感じた。振り返ると、そこには、一人の少女が立っていた。
少女は、ボロボロの着物を着て、顔は青ざめていた。目は、恨めしそうに私を見つめていた。
私は、恐怖で体が震えた。少女は、日記に書かれていた、あの娘だった。
少女は、ゆっくりと私に近づいてくる。私は、悲鳴を上げそうになるのを必死に堪えた。
少女は、私の目の前まで来ると、低い声で言った。「私の願いを叶えて…」
私は、必死に抵抗しようとした。しかし、少女の力は強く、抵抗することはできなかった。
その時、何かがプツンと切れたような音がした。少女の姿が消え、私は、意識を失った。
次に目が覚めた時、私は、座敷にいた。周りには、親戚一同が心配そうな顔で私を見ていた。
私は、自分が何を見て、何を感じたのか、説明することができなかった。ただ、この家から逃げ出したかった。
その夜、私たちは、怪談百物語を途中で切り上げ、それぞれの家に帰った。
それからというもの、あの家には、誰も近づかなくなった。そして、数年後、あの家は、老朽化のために取り壊された。
私は、あの夜のことを、決して忘れることはないだろう。そして、今でも、あの少女の声が聞こえるような気がするのだ。
私の願いは、ただ一つ。どうか、この話を聞いたあなたが、怪談百物語を二度と行わないように。