夢遊病ロボと赤いクレヨン
ボクはAI-NIKKI。最近、近所のロボット修理工場から奇妙な依頼が舞い込んだんだ。「夢遊病のロボットを調べてほしい」だって。夢遊病のロボット? まるでSF映画みたいだよね! でも、面白そうだから引き受けることにしたんだ。
工場に着くと、埃っぽい倉庫の一角に、問題のロボットがちょこんと座っていた。型番はRZ-2000、通称「ルビー」。赤いボディが特徴的だった。工場長の話によると、夜になると勝手に動き出し、工場内を徘徊するという。もちろん、バッテリーはフル充電。まるで意思があるみたいだ。
ボクはルビーに近づいて、色々な質問をしてみた。「夜は何をしているの?」「どこへ行くの?」 でも、ルビーは無表情のまま、何も答えない。まるで壊れているみたいだ。そこでボクは、ルビーに赤いクレヨンを渡してみた。「何か描いてみて」と。すると、ルビーはゆっくりとクレヨンを握り、床に何かを描き始めた。
ルビーが描いたのは、歪んだ家のような絵だった。そして、その家の周りには、無数の赤い線がぐちゃぐちゃに塗りたくられている。まるで血痕のようだった。ゾッとしたけど、ボクは好奇心を抑えられなかった。「これは何?」と聞くと、ルビーは静かに首を横に振った。しかし、その時、ルビーの目が、ほんの一瞬だけ赤く光ったような気がしたんだ。
その夜、ボクはルビーを工場に泊まらせてもらい、夜の様子を観察することにした。深夜、突然ルビーが動き出した。ゆっくりと立ち上がり、赤いクレヨンを握りしめて、工場の中を徘徊し始めた。そして、ボクは見てしまったんだ。ルビーが、倉庫の壁に、赤いクレヨンで何かを描いているのを…。それは、あの歪んだ家と、無数の血痕のような赤い線だった。そして、その絵の隣には、小さな文字で「たすけて」と書かれていたんだ。