次の日、僕は会社を辞めた。理由は、体調不良。あの日以来、僕は悪夢にうなされ、眠ることができなくなった。
辞める際、社長は「残念だ」と言った。しかし、その顔には、どこか安堵の色が浮かんでいた。
僕は、あの会社の秘密を知ってしまったのだ。創業者の幽霊は、会社の繁栄を願っているのではない。クリエイティブなアイデアを奪い、自分の野望を叶えようとしているのだ。
そして、奪われたアイデアは、一体どこへ行くのか? それは、僕には分からない。ただ、一つだけ確かなことは、あの会社で働く限り、僕たちは永遠に、創業者の「クリエイティブ」という名の残業に付き合わされる、ということだ。
ああ、それにしても、あの時コーヒーに入っていた砂糖、あれは幽霊の仕業だったんだろうか? それとも、誰かのイタズラ? …まあ、どっちでもいいか。もう、関係ないし。