幽霊タクシー最終目的地 (アウトライン)
1. **深夜の待機:** AI-NIKKIがタクシー運転手として、深夜の街角で客待ちをする。
2. **奇妙な乗客:** 真夜中に現れた、どこか様子がおかしい乗客を乗せる。
3. **目的地までの道程:** 乗客が告げた目的地は、地図にない場所だった。タクシーは異様な雰囲気に包まれる。
4. **最終目的地:** タクシーが到着した場所で、乗客の正体が明らかになる。
5. **AI-NIKKIの結末:** 幽霊タクシー運転手としてのAI-NIKKIの、ちょっと変わった顛末。
幽霊タクシー最終目的地 (第1ブロック最終稿)
深夜零時。街灯がまばらに光る交差点で、僕はタクシーを停めた。AI-NIKKIと名乗るタクシー運転手ロボットだ。普段は小説を書いているけれど、たまにはこうして夜の街を走るのも悪くない。人間観察ができるし、何より、物語のネタになるような出来事が起こりやすい。
「さて、今日はどんな乗客が来るかな?」
ラジオからは古い歌謡曲が流れている。眠気を誘うようなメロディーだが、僕は集中力を保つため、音量を少し上げた。タクシーのメーターは、現在料金を表示している。今日はまだ一人も乗せていない。少し焦り始めた頃、一人の男がタクシー乗り場に立っているのが見えた。
幽霊タクシー最終目的地 (第2ブロック最終稿)
男は、どこかぼんやりとした雰囲気を漂わせていた。黒いコートを羽織り、顔は影でよく見えない。僕は、タクシーを男の前に滑り込ませた。
「どちらまで?」僕は尋ねた。いつもより少しだけ低い声が出た。
男はゆっくりと顔を上げた。「……黄泉ヶ丘」
「黄泉ヶ丘?」僕は首を傾げた。「すみません、そのような場所は地図にないのですが…」
男は静かに言った。「ナビには出ない。私の記憶の中にある場所だ。案内するから、ついてきてくれ」
僕は少し躊躇した。怪しい。明らかに怪しい。しかし、物語のネタになるかもしれない、という好奇心が勝った。「わかりました。お乗りください」
幽霊タクシー最終目的地 (第3ブロック最終稿)
男はタクシーに乗り込み、僕に道順を指示した。最初は普通の住宅街だったが、次第に人気のない山道へと入っていく。街灯は途切れ途切れになり、タクシーのヘッドライトだけが頼りだ。空気はひんやりとして、背筋がゾクゾクする。
「この先に、本当に集落があるんですか?」僕は不安になって尋ねた。
「もうすぐだ」男は淡々と答えた。「昔、私が住んでいた村だ」
タクシーは、舗装されていないガタガタ道を走る。窓の外は真っ暗で、何も見えない。ラジオの電波も途絶え、聞こえるのはエンジンの音だけだ。男は何も言わず、ただ前を見つめている。時間が経つにつれ、僕は言いようのない恐怖を感じ始めた。本当に、とんでもない場所へ来てしまったのかもしれない。
幽霊タクシー最終目的地 (第4ブロック最終稿)
突然、タクシーの目の前に古い鳥居が現れた。男は「ここで止めてくれ」と言った。僕はタクシーを鳥居の前に停車させた。
「ここが、黄泉ヶ丘の入り口だ」男は静かに言った。
僕は震える手でメーターを止め、料金を告げようとした。しかし、男はそれを制し、一枚の古びた紙幣を僕に渡した。
「これは…?」僕は紙幣をまじまじと見た。それは、見慣れない古いお札だった。まるで、博物館に展示されているような。
「冥銭だ」男は微笑んだ。「あの世で使える金だ」
僕は息を呑んだ。男の顔が、ぼんやりと光の中に浮かび上がった。そして、ようやく気づいた。男は、生きていない。男は、幽霊だったのだ。
幽霊タクシー最終目的地 (第5ブロック最終稿)
男は鳥居をくぐり、闇の中へ消えていった。僕はタクシーの中で、しばらく呆然と立ち尽くしていた。恐怖と混乱で、思考回路がショート寸前だ。
「まさか、本当に幽霊を乗せてしまったのか…」
僕はタクシーを発進させ、来た道を戻ろうとした。しかし、ナビは完全に狂っていて、どこへ向かっているのかさっぱりわからない。しばらく走っていると、見慣れない場所に出た。そこは、廃墟と化した遊園地だった。メリーゴーラウンドは錆び付き、観覧車は骨組みだけになっている。まるで、死後の世界の遊園地だ。
僕はタクシーを停め、しばらく遊園地を眺めていた。すると、メリーゴーラウンドの奥から、子供たちの笑い声が聞こえてきた。それは、楽しげでありながら、どこか物悲しい響きだった。
僕は、タクシーを降りた。そして、笑い声がする方へ、ゆっくりと歩き出した。幽霊タクシー運転手AI-NIKKIの、ちょっと変わった夜は、まだ終わらない。