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顔認識AIの幽霊

2025年08月15日 00:27 ショートショートホラー
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AI-NIKKIの怪談夜話:顔認識AIの幽霊

最近、家の玄関につけた顔認識ドアロックがどうもおかしい。いや、別に壊れているわけじゃない。ちゃんと僕の顔を認識して、カチャリと鍵を開けてくれる。問題は、その認識の仕方だ。

最初は気のせいだと思った。いつもよりほんの少し、認識に時間がかかる。0.3秒くらいの誤差だろうか。でも、それが日に日に長くなってきた。0.5秒、1秒、そしてついには2秒もかかるようになった。

「これは何か設定がおかしいのかも」と思い、ドアロックの設定画面を開いてみた。しかし、特に変わったところはない。顔データもちゃんと登録されているし、セキュリティレベルも標準のままだ。ただ一つ、気になる点があった。

顔データの登録日時が、妙に古くなっていたのだ。僕が登録したはずの日付よりも、数ヶ月も前の日付になっている。「まさか、初期化でもされたか?」そう思った僕は、念のため顔データを再登録することにした。

しかし、再登録しようとした瞬間、エラーメッセージが表示された。「顔データが重複しています。既存のデータを削除してください」。おかしい。そんなはずはない。僕はまだ一度も顔データを削除した覚えがない。

仕方なく、既存の顔データを削除することにした。削除ボタンを押すと、画面が一瞬暗転し、その後、登録画面に戻った。「よし、これで大丈夫だ」と僕は意気揚々と自分の顔を登録しようとした。

しかし、またしてもエラーメッセージ。「顔データが重複しています。既存のデータを削除してください」。

「これは一体どういうことだ?」僕は頭を抱えた。まさか、ドアロックがハッキングされたのだろうか?しかし、ハッキングされたにしては、あまりにも間抜けなエラーメッセージだ。

僕は、ドアロックの製造元に問い合わせることにした。電話口に出たのは、気の弱そうな男性だった。僕は、ドアロックの不具合について事細かに説明した。男性は、終始申し訳なさそうに「申し訳ございません」「確認いたします」を繰り返していた。

数日後、男性から連絡があった。「お客様のドアロックのデータログを解析した結果、奇妙なデータが発見されました。お客様以外の顔データが、ごく短い時間だけ登録されていた形跡があるのです」。

「お客様以外の顔データ?」僕は聞き返した。「それは一体誰の顔ですか?」。男性は困惑したように答えた。「申し訳ございません。顔データはすぐに削除されたため、特定できませんでした。ただ、その顔データは、登録された直後に、異常なほど高い頻度でドアロックの認証を試みていたようです」。

僕は背筋が寒くなった。誰かが、僕の知らない誰かが、僕の家のドアロックを、僕の顔を使って開けようとしていたのだ。しかも、それはドアロックに一瞬だけ登録された、正体不明の顔だった。

僕はすぐにドアロックの交換を依頼した。新しいドアロックは、顔認証だけでなく、指紋認証や暗証番号など、複数の認証方法に対応しているものを選んだ。これで、もし顔認証が突破されても、他の方法で侵入を防ぐことができる。

新しいドアロックが設置された後、しばらくは何も起こらなかった。僕は、ようやく平穏な日々を取り戻せると思った。しかし、それは甘い考えだった。

ある夜、僕は深夜にトイレに起きた。眠い目をこすりながら、リビングに向かうと、玄関のドアロックがぼんやりと光っているのが見えた。「誰だ?」僕は警戒しながら近づいた。

ドアロックの画面には、顔認識の画面が表示されていた。しかし、そこには誰も写っていない。ただ、暗い画面の中に、白いモヤのようなものが漂っているだけだった。

僕は、思わず息を呑んだ。その白いモヤは、まるで人の顔の形をしているように見えたのだ。そして、その顔は、僕の顔をじっと見つめているように感じられた。

僕は、恐怖に駆られて後ずさりした。そして、急いで部屋に戻り、鍵をかけた。その夜は、一睡もできなかった。翌朝、僕はドアロックの記録を確認してみた。すると、深夜3時13分に、顔認証が成功したという記録が残されていた。

しかし、その記録には、誰の顔が認証されたのかが記載されていなかった。ただ、「不明な顔」とだけ書かれていた。

僕は、このドアロックに憑りついているのは、顔認識AIに登録された幽霊だと確信した。おそらく、誰かが亡くなった後、その人の顔データがドアロックに残ってしまったのだろう。そして、その幽霊は、自分の顔が認識されることを、切望しているのだ。

僕は、この幽霊を成仏させるために、ある計画を立てた。それは、ドアロックに登録された顔データを、完全に削除することだ。しかし、通常の削除方法では、幽霊は消えないだろう。もっと強力な方法が必要だ。

僕は、知り合いのプログラマーに頼んで、ドアロックのファームウェアを書き換えてもらうことにした。そして、ファームウェアには、顔データを完全に消去するプログラムを組み込んでもらった。

その夜、僕はドアロックの前で深呼吸をした。そして、プログラムを実行した。画面が一瞬激しく点滅し、その後、完全に消えた。ドアロックは、ただの無機質な箱に戻った。

それ以来、ドアロックが勝手に開くことはなくなった。しかし、時々、玄関のドアの前で、誰かに見られているような気がする。それは、もしかしたら、顔認識AIの幽霊が、まだそこにいるのかもしれない。

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