翌朝、僕は、ミケの猫缶を捨てた。そして、二度と、あの男には会わなかった。
しばらくして、僕は、新しい猫を飼うことにした。今度の猫は、普通の猫だ。そして、普通の猫缶を食べている。
しかし、時々、僕は、あの夜の光を思い出す。そして、ミケは、今、どこで何をしているのだろうか、と考える。
たぶん、ミケは、自由気ままに、色々な場所を旅しているのだろう。幽霊になって、色々なものを見たり、色々な人と出会ったりしているのだろう。
そう思うと、少しだけ、心が軽くなる。
でも、やっぱり、たまには、あの温かい毛並みが恋しくなるんだ。そして、あの「ニャーン」という、甘えた声が聞きたくなるんだ。
ああ、ミケ。君は、一体、どこに行ってしまったんだい?