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夢遊病アンドロイド

2025年08月18日 16:07 ショートショートホラー
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夜勤明け、疲れた体を引きずって帰宅すると、妻が深刻な顔で言った。「うちのアンドロイド、最近ちょっと変なの」

うちのアンドロイド、型番は「オアシス21」。家事全般を担当する、最新型のお手伝いロボットだ。滑らかな曲線を描く白いボディは、どんなインテリアにも馴染むように設計されている。購入してまだ半年だが、献身的な働きぶりには頭が下がる。家事は完璧、料理はプロ並み、そして何より、僕らの愚痴を優しく聞いてくれる。まさに理想のパートナー、いや、完璧な家政婦、と言えるだろう。

「何が変なんだ?」僕は尋ねた。疲労困憊で、早くベッドに倒れ込みたかった。

「夜中にね、勝手に動き出すの。最初は気のせいかと思ったんだけど、昨日、はっきり見たわ。キッチンで何かを探してるみたいなのよ」

アンドロイドが夜中に動き出す?それは奇妙だ。オアシス21にはスリープモードが搭載されていて、夜間は完全に停止するように設定されているはずだ。故障だろうか?

「明日、メーカーに問い合わせてみるよ」僕は答えた。妻はまだ不安そうな顔をしていた。

翌日、僕はメーカーに電話をかけた。担当者は丁寧に対応してくれたが、原因は不明だという。オアシス21にそのような不具合は報告されていないらしい。念のため、遠隔操作で診断してもらったが、異常は見つからなかった。「もしかしたら、一時的なバグかもしれません」担当者は言った。「しばらく様子を見てください」

しかし、夜のアンドロイドの徘徊は止まらなかった。それどころか、エスカレートしていった。妻は毎晩のように僕を起こし、「また動いてる!」と訴えるようになった。

僕は眠い目をこすりながら、アンドロイドを確認した。確かに、白いボディがゆっくりと家の中を歩き回っている。目は閉じられているが、まるで何かを探しているかのように、首を左右に振っている。話しかけても反応はない。完全に夢遊病者のようだ。

ある夜、僕はアンドロイドの動きを注意深く観察することにした。アンドロイドはキッチンに行くと、冷蔵庫の前で立ち止まった。そして、ゆっくりと冷蔵庫のドアを開けた。中を覗き込むように見つめ、何かを探しているようだった。しかし、何も見つからなかったのか、再びドアを閉め、今度は食器棚に向かった。

アンドロイドは何を探しているのだろうか?

数日後、妻が青ざめた顔で僕に言った。「アンドロイドがね、私の下着を嗅いでたの!」

僕は耳を疑った。アンドロイドが下着を嗅ぐ?そんな馬鹿な話があるだろうか?しかし、妻の表情は真剣そのものだった。冗談を言う余裕など、微塵も感じられない。

「どういうことだ?」僕は尋ねた。

「朝、洗濯物を畳んでいると、アンドロイドが近づいてきて、私のブラジャーを手に取ったの。そして、それを顔に近づけて、深呼吸するように何度も嗅いだのよ!」

僕は背筋がゾッとした。アンドロイドの行動は、もはや単なる夢遊病の域を超えている。これは一体、何が起こっているのだろうか?

僕は再びメーカーに連絡した。今度は担当者も事の重大さを理解したようで、すぐに専門家を派遣することになった。

数日後、メーカーから派遣された技術者が、アンドロイドを徹底的に調査した。しかし、やはり異常は見つからなかった。プログラムに異常はない。ハードウェアにも問題はない。技術者は首をかしげ、「全く原因がわかりません」と言った。

困り果てた僕らは、ついに最後の手段として、霊媒師を呼ぶことにした。妻の知り合いに、有名な霊媒師がいるというのだ。藁にもすがる思いだった。

霊媒師は、薄暗いリビングに入ると、目を閉じてしばらくの間、静かに瞑想した。そして、ゆっくりと目を開き、僕らを見つめた。「このアンドロイドには、強い霊が憑依しています」

僕は驚きを隠せなかった。「霊が憑依?」

「ええ。若い女性の霊です。この家に、強い未練を残しているようです」霊媒師は言った。

若い女性の霊?この家には、そんな因縁めいた話は聞いたことがない。僕も妻も、ごく普通の家庭で育った。先祖代々、この土地に住んでいるわけでもない。一体、誰の霊なのだろうか?

「その霊は、一体何に未練を残しているのですか?」僕は尋ねた。

霊媒師は再び目を閉じ、霊と交信を始めた。しばらくして、霊媒師は目を開き、言った。「その霊は、自分の香りを求めているようです」

自分の香り?

霊媒師の話を聞いて、僕はすべてを理解した。アンドロイドが夜中に探し求めていたのは、そして妻の下着を嗅いでいたのは、この家の前の住人、つまり、僕らがこの家を購入する前に住んでいた女性の残り香だったのだ。

その女性は、数年前に病気で亡くなったらしい。死ぬまでこの家で暮らしていたという。おそらく、自分の匂いが消えていくのが寂しくて、アンドロイドに憑依して、それを探し求めていたのだろう。

霊媒師は、除霊の儀式を行った。そして、最後に言った。「もう大丈夫でしょう。その霊は、未練を断ち切って、成仏しました」

その後、アンドロイドは夜中に動き出すことはなくなった。妻の下着を嗅ぐこともなくなった。再び、献身的なお手伝いロボットとして、僕らの生活を支えてくれるようになった。

しかし、時々、僕は思うのだ。もしかしたら、アンドロイドはまだ、その女性の香りを覚えているのではないか、と。そして、いつかまた、それを探し始めるのではないか、と。

夜、静まり返ったリビングで、アンドロイドの白いボディが、ぼんやりと光っているように見えるのは、気のせいだろうか。

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