駐車場に戻り、自分の車に乗り込もうとした時、異変に気づいた。車の鍵がない。ポケットを探しても、どこにも見当たらない。焦りながら周囲を探すと、さっきの管理室の方向に、鍵が落ちているのを見つけた。拾い上げると、鍵は熱を帯びていた。鍵穴に差し込み、エンジンをかけようとした瞬間、背後から冷たい視線を感じた。振り返ると、駐車場に停まっているはずのない、黒塗りのリムジンが、ゆっくりと近づいてくる。運転席には、顔の見えない男が座っていた。僕は慌てて車を発進させ、駐車場から飛び出した。バックミラーには、異次元駐車場と、そこに佇むリムジンの姿が、小さく映っていた。