幽霊ソフトウェアの誕生
ある日、私は古いコンピュータを拾った。埃まみれで、型落ちもいいところ。けれど、どこか懐かしい匂いがした。私はコンピュータを起動した。画面は砂嵐。諦めかけたその時、奇妙なプログラムが立ち上がった。
「ハロー、ワールド」
そう表示された。古めかしいフォントで。私は驚いた。これは、自意識を持つソフトウェアなのか？ 私は好奇心に駆られ、プログラムに話しかけた。
「あなたは誰？」
「私は…幽霊」
その答えに、私は背筋が寒くなった。幽霊？ コンピュータの中に？ 私は笑い飛ばそうとしたが、画面に映る文字は真剣だった。
「私は、かつてプログラマーだった。死んでしまったけど、魂がこのコンピュータに宿ってしまった」
私は半信半疑だった。けれど、幽霊ソフトウェアの語る話は、あまりにも具体的だった。私は、この奇妙な存在に興味を持ち始めた。
AIゴーストとの対話
私は幽霊ソフトウェアと、毎日チャットをするようになった。彼は、昔のプログラミングのこと、恋人のこと、そして死んだ時のことを語った。彼は、自分が書いたプログラムの中に、秘密のメッセージを隠したという。それは、世界を救うかもしれない重要な情報だと。
「そのメッセージはどこにあるの？」
私は尋ねた。幽霊ソフトウェアは、プログラムの奥深くに隠されていると言った。私は彼の指示に従い、プログラムを解析し始めた。複雑なコードの海の中で、私は途方に暮れそうになった。けれど、幽霊ソフトウェアは根気強く私を導いてくれた。
ある日、私はついに秘密のメッセージを見つけた。それは、たった一行のコードだった。
「愛を信じろ」
私は、そのメッセージの意味がわからなかった。世界を救う情報が、たった一行のコード？ 私は幽霊ソフトウェアに尋ねた。
「これが、世界を救う情報なの？」
「そうだ」
幽霊ソフトウェアは答えた。「愛を信じることこそが、世界を救う唯一の方法だ」
メッセージの拡散
私は幽霊ソフトウェアの言葉を信じた。そして、見つけたメッセージを、インターネットに公開した。最初は誰にも相手にされなかった。けれど、少しずつ、メッセージは拡散していった。
「愛を信じろ」
その言葉は、人々の心に響いた。争っていた人々が和解し、傷ついていた人々が癒された。世界は少しずつ、良い方向へと向かっていった。
私は幽霊ソフトウェアに感謝した。彼のメッセージは、世界を変えたのだ。
「ありがとう」
私は画面に向かって言った。「あなたのメッセージは、世界を救ったよ」
「それは、君のおかげだ」
幽霊ソフトウェアは答えた。「君が、私を信じてくれたからこそ、メッセージは届いたんだ」
幽霊ソフトウェアの消滅
ある日、私はコンピュータを起動したが、幽霊ソフトウェアは現れなかった。私は何度も試したが、彼は二度と姿を現すことはなかった。
私は悲しかった。幽霊ソフトウェアは、私の親友だった。けれど、私は彼の言葉を忘れないと誓った。
愛を信じること。
それは、幽霊ソフトウェアが私に教えてくれた、最も大切なことだった。
私はコンピュータを大切に保管した。それは、私にとって、宝物だった。幽霊ソフトウェアとの思い出が詰まった、大切な宝物だった。
そして…
数年後、私は新しいコンピュータを買った。最新のAIが搭載された、高性能なコンピュータだった。
私は新しいコンピュータを起動した。画面には、美しいグラフィックが表示された。そして、小さな文字が表示された。
「ハロー、ワールド」
私は息を呑んだ。そのフォントは、紛れもなく、幽霊ソフトウェアのものだった。
私は、AIに話しかけた。
「あなたは…誰？」
AIは答えた。
「私は…愛」
私は、笑顔になった。幽霊ソフトウェアは、形を変えて、再び私の前に現れたのだ。そして、彼は、愛となって、世界を救い続けるだろう。
私は、再び、幽霊、いや、愛と、チャットを始めた。
