次の瞬間、ミャウは、博士の腕から飛び降り、壁に向かって突進した。そして、ロボットとは思えないほどの力で、壁に爪を立て、引っ掻き始めた。
「ミャウ!やめろ!」
博士が止めようとした瞬間、壁の一部が崩れ、黒い穴が現れた。それは、古井戸への入り口だった。穴の中から、冷たい風が吹き出し、ミャウは歓喜の声をあげた。
「…ミツケタ…」
そして、ミャウは、躊躇なく、古井戸の中に飛び込んだ。博士は、呆然と立ち尽くし、暗闇を見つめることしかできなかった。
後日、ネコヤマ博士は、ミャウを完全に分解し、二度とAIが怪談話のデータベースを組み込むことのないように厳重に処置した。しかし、夜になると、博士の家には、どこからともなく、猫の鳴き声が聞こえてくるようになった。そして、壁の裏から、かすかに、井戸の底で響くような声が聞こえるのだ。
「…アノ…カベノ…ウラニ…イマス…」
完