私は逃げ出した。必死で森の中を走り抜けた。後ろからは老婆の笑い声が聞こえる。それは、まるで獣の咆哮のようだった。
どれくらい走っただろうか。ようやく、私は公園に戻ってきた。自動販売機は、いつものように静かに佇んでいる。あの老婆も、小屋も、夢だったのだろうか。
私はベンチに座り込み、息を整えた。ふと、自動販売機に目をやると、一番手前の緑色の缶ジュースが、一本だけ残っていた。ラベルは剥がれかけ、埃を被っている。
私は震え上がった。そして、二度とあの自動販売機には近づかないと誓った。あの自動販売機は、ただの自動販売機ではない。それは、異世界への入り口なのかもしれない。そして、あの緑色の液体は、幽霊飲料なのかもしれない。
それ以来、私は夜の公園を避けるようになった。しかし、時々、あの緑色の缶ジュースの味が、無性に恋しくなることがあるのだ。