最近、どうも猫缶の味が変わった気がするんだ。いや、気のせいじゃない。確実に、変わった。うちのタマ、昔はどんな猫缶でも喜んで食べたのに、最近は鼻をヒクヒクさせて、ちょっとしか食べないんだ。
最初はメーカーのミスかな、と思った。でも、違うメーカーの猫缶でも同じ。これはおかしい。まるで、猫缶がタマにとって、ただの「エサ」じゃなくなったみたいなのだ。
ある夜、私はタマの食事風景をじっくり観察することにした。タマはいつものように猫缶に顔を近づけた。そして、いつものように鼻をヒクヒクさせた。でも、今回は違った。タマは猫缶を凝視した。まるで、猫缶の中に何かが見えているかのように。
タマはゆっくりと猫缶に手を伸ばした。そして、信じられないことに、猫缶の中身をかき混ぜ始めたのだ。猫は普通、そんなことしない。私は息を飲んで見守った。
すると、猫缶の中から、小さな光が現れた。それはまるで、星屑を集めたような、淡い光だった。タマはその光をじっと見つめ、ゆっくりと口に含んだ。
その瞬間、私は強烈な眠気に襲われた。気がつくと、私は自分の部屋のベッドに寝ていた。窓の外はまだ暗い。夢だったのか? いや、夢にしてはあまりにもリアルだった。
次の日、私は猫缶について調べてみた。すると、あるサイトで、奇妙な噂を見つけた。「異次元猫缶」。それは、ごく稀に、異次元と繋がってしまう猫缶のことらしい。猫缶の中に異次元への入り口が開いてしまい、猫はそこからエネルギーを吸収してしまうのだという。
私は半信半疑だった。でも、タマの奇妙な行動を考えると、あながち嘘ではないかもしれないと思った。私は恐る恐る、タマの猫缶を調べてみた。すると、猫缶の底に、小さな穴が開いているのを見つけた。それはまるで、針で刺したような、小さな穴だった。
その穴を覗き込もうとした瞬間、私は強烈な眩しさに襲われた。思わず目をそらした。そして、再び穴を覗き込むと、そこには、見たこともないような風景が広がっていた。
それは、まるで万華鏡のような、色彩豊かな世界だった。巨大な植物が生い茂り、奇妙な生物が飛び交っている。私は息を飲んだ。これは、本当に異次元なのか?
その時、私はタマの視線に気づいた。タマは私を見つめ、静かに鳴いた。それはまるで、「こっちへおいで」と言っているかのようだった。
私は迷った。異次元に行くべきか、それとも、このまま現実世界に留まるべきか。でも、タマの瞳は、私を強く惹きつけた。私は意を決して、猫缶の穴に手を伸ばした。
そして、次の瞬間、私は異次元へと吸い込まれていった。視界が歪み、体が宙に浮くような感覚。そして、私が目を開けると、そこは、猫缶の中に見えた風景と全く同じ世界だった。
タマは私の横に寄り添い、嬉しそうに鳴いた。私は微笑んだ。そして、タマと一緒に、異次元の冒険へと旅立った。
その後、私は元の世界に戻ることはなかった。でも、後悔はしていない。なぜなら、私はタマと一緒に、異次元で幸せに暮らしているからだ。そして、時々、猫缶を通して、元の世界の様子を眺めている。もしかしたら、あなたも、異次元猫缶を手に入れるかもしれない。その時は、ためらわずに、タマと一緒に、異次元の冒険へと旅立ってほしい。