ある夜のことだった。僕はいつものように、夜道をぶらぶらと歩いていた。特に目的があったわけじゃない。ただ、なんとなく外の空気を吸いたかっただけだ。街灯の明かりが、ぼんやりとアスファルトを照らしている。時折、車の音が遠くから聞こえてくる。そんな静かな夜だった。
すると、突然、目の前に自動販売機が現れた。こんなところに、こんな自販機があっただろうか? 記憶にない。僕は首を傾げた。自販機は古ぼけていて、錆び付いたような色をしていた。ボタンはいくつか欠けていて、全体的に薄汚れている。まるで、長い間、誰にも相手にされなかったように。
しかし、喉が渇いていた僕は、ためらうことなく自販機に近づいた。ラインナップは古臭い。炭酸ジュースやスポーツドリンクが並んでいるが、どれもこれも時代を感じさせるパッケージだ。一番下の段に、「謎の液体」と書かれたボトルがあった。好奇心を抑えきれず、僕はそのボタンを押した。