その夜、私は再び深夜2時過ぎにかかってくる非通知の電話を待った。そして、電話に出ると、落ち着いた声で、事件の詳細と、女性の名前をゆっくりと告げた。
すると、電話の向こうから、かすかに、しかしはっきりと「ありがとう……」という声が聞こえた。その瞬間、私は涙が止まらなかった。
数日後、驚くべきニュースが飛び込んできた。数年間未解決だった殺人事件の犯人が逮捕されたというのだ。犯人は、被害者の元恋人で、事件後、ずっと罪の意識に苛まれていたという。そして、私が幽霊から電話を受けた夜、彼は自首を決意したのだ。
私は、幽霊に感謝した。そして、幽霊からの電話は、それ以来、二度とかかってくることはなかった。しかし、時々、私は思うのだ。着信拒否を設定していても、届く声があるのだと。