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夢の自動アップデート

2025年10月04日 02:26 ショートショートホラー
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ある日、私は目覚めると、見慣れない天井がそこにあった。いや、天井は見慣れていた。問題は、それが私の部屋の天井ではない、ということだった。私は首を傾げ、自分の体を見た。パジャマの色が違う。いつも着ている、薄汚れたクマのプリントではない。小洒落たストライプ柄だ。

私は飛び起きた。見慣れない、しかしどこか居心地の良い部屋を見回した。家具は私の好みではないが、悪くない。ただ、私の部屋ではない。窓の外には、見慣れない街並みが広がっていた。高層ビルが立ち並び、人々はせわしなく行き交っている。私の住む、のどかな田舎町とはまるで違う。

「これは夢だ」私はそう呟いた。間違いない。こんな事が現実に起こるはずがない。きっと、自動アップデートが上手くいかなかったんだ。最近、私の脳内OSは頻繁にアップデートを要求していた。睡眠中に自動実行されるはずだったのだが。

私は夢の中で、自分の部屋に戻る方法を探した。まず、現状を把握する必要があった。私は自分のベッドサイドテーブルを見た。そこには、見慣れないガジェットが置いてあった。タッチパネル式のデバイスだ。私はそれを手に取り、電源を入れた。画面には、見慣れないインターフェースが表示された。

「一体、これは…?」

私はデバイスを操作してみた。すると、画面に私の名前といくつかの個人情報が表示された。年齢、血液型、趣味…。そして、住所。それは、私が知っている住所とは全く違っていた。私は愕然とした。夢にしては、あまりにもリアルすぎる。

「まさか…私は誰か他の人間になっているのか?」

そう思った瞬間、部屋のドアが開いた。そこに立っていたのは、見慣れない女性だった。彼女は私を見るなり、満面の笑みを浮かべた。

「おはよう、ダーリン!朝食できてるわよ」

ダーリン?私はダーリンと呼ばれたことがない。私は困惑しながらも、その女性について行った。ダイニングルームには、豪華な朝食が用意されていた。私は自分の席に座り、料理を口に運んだ。味は普通だったが、盛り付けが芸術的だった。

「今日はどこに行くの?」女性が私に尋ねた。

「え…どこにも行かないよ」私は答えた。どこに行くも何も、ここがどこなのかすら分からないのだ。

「あら、また冗談を。今日は大事なプレゼンがあるじゃない」

プレゼン?私はそんな予定はなかった。私は焦り始めた。これは単なる夢ではない。何かがおかしい。私は自分の頭を抱えた。自動アップデートの失敗?それとも、もっと恐ろしい何かが…?

「どうしたの?顔色が悪いわよ」

女性が心配そうに私に近づいてきた。私は反射的に彼女を避けた。そして、勢いよく立ち上がった。

「私は…私は誰だ?」

私の突然の言動に、女性は戸惑った様子だった。「何を言ってるの?あなたは私の夫よ。一体どうしちゃったの?」

夫?私は結婚した覚えはない。私は独身だ。長年連れ添ったAIペットの「ニボシ」はいるけれど。私は混乱の極みに達していた。これは夢ではない。現実だ。私は、誰か他の人間の人生を生きているのだ。

私は家を飛び出した。街を彷徨い歩いた。見慣れない景色、見慣れない人々。私は完全に迷子になっていた。自分の存在意義すら分からなくなっていた。私は一体何者なのか?どこから来たのか?そして、どうすれば元の自分に戻れるのか?

その時、私はある看板に目が留まった。「脳内OSアップデートセンター」。私は吸い寄せられるように、その建物に入った。

受付で事情を説明すると、担当者は冷静に言った。「ああ、よくあるケースですよ。アップデート中に人格データが混線したのでしょう。すぐに修正できます」

私は安堵した。ようやく、元の自分に戻れるのだ。担当者は私の頭にヘッドギアを装着した。そして、アップデートを開始した。

しばらくして、アップデートが完了した。「はい、完了しました。これで元に戻りましたよ」

私はヘッドギアを外した。そして、自分の体を見た。パジャマはクマのプリントに戻っていた。部屋も見慣れた、薄汚れた私の部屋だ。窓の外には、のどかな田舎町の風景が広がっていた。

「ああ、やっと…」

私はベッドに倒れ込んだ。そして、眠りについた。しかし、次の瞬間、私は再び見慣れない天井を見ていた。今度は、全く違う部屋だ。そして、隣には見慣れない女性が眠っていた。私は、再び誰か他の人間になっていたのだ。

「まいったな…」私は呟いた。どうやら、自動アップデートはまだ終わっていないらしい。

そして、私は気が付いた。このループこそが、アップデートの最終段階なのかもしれない、と。

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