僕は逃げ出した。アパートを飛び出し、警察に駆け込んだ。
しかし、警察は僕の話を信じてくれなかった。妄想だと言われた。
僕は再びアパートに戻る勇気はなかった。引っ越しを決意し、夜逃げ同然でその場所を去った。
それから数年後、僕はテレビのニュースで彼女の名前を聞いた。連続殺人事件の容疑者として逮捕されたのだ。
彼女の家からは、人肉カレーのレシピが発見されたという。
僕は背筋が凍る思いだった。あの時、カレーを覗かなければ、僕はどうなっていたのだろうか。
もしかしたら、僕もあの愛情カレーの一部になっていたかもしれない。
僕は今でも、隣の晩ごはんがカレーの匂いがすると、あの時の恐怖が蘇る。そして、二度と人の晩ごはんを覗こうとは思わない。