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傘の行列、雨の怪談

2025年11月26日 02:22 ショートショートホラー
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雨の季節は苦手だ。傘をさすのが面倒というわけではない。傘そのものが、どうも気味が悪いのだ。

私が住む町は、傘の生産で有名な場所だった。町中には傘屋が軒を連ね、雨の日ともなれば、色とりどりの傘が咲き乱れるように、町を彩っていた。幼い頃は、その光景を美しいと思っていた。しかし、ある日を境に、傘に対する見方が変わってしまった。

きっかけは、近所の古道具屋で見つけた古い傘だった。骨組みは錆び付き、生地は色褪せている。それでも、どこか風格のようなものが漂っていた。値段を聞くと、店主は「これはただの傘じゃない。持ち主の魂が宿っているんだ」と、気味の悪い笑みを浮かべながら言った。

私は、そんな話を信じるタイプではなかった。しかし、その傘の異様な雰囲気に惹かれ、つい衝動買いしてしまった。家に持ち帰り、部屋の隅に立てかけておくと、その日から奇妙な事が起こり始めた。

夜中に、どこからともなく「カサ…カサ…」という音が聞こえてくるのだ。最初は、風の音だと思った。しかし、その音は、まるで誰かが傘を開いたり閉じたりしている音に聞こえた。恐る恐る音のする方へ近づくと、古道具屋で買った傘が、微かに震えているのが見えた。

私は、気持ちが悪くなり、すぐに傘を押し入れにしまった。しかし、その夜も、また同じ音が聞こえてきた。今度は、押し入れの中から聞こえてくる。勇気を振り絞って押し入れを開けると、傘は倒れておらず、静かに佇んでいた。ただ、傘の先が、僅かに動いているように見えた。

それからというもの、私は毎晩のように「カサ…カサ…」という音に悩まされるようになった。眠れぬ日々が続き、精神的に疲弊していった。ある日、ついに我慢できなくなり、古道具屋に傘を持ち込んだ。

店主は、傘を見るなり「やっぱりね…」と呟いた。「この傘には、昔、雨の中で事故死した女性の魂が宿っているんだ。彼女は、雨の日になると、自分の傘を探して彷徨っているらしい」

私は、鳥肌が立つ思いだった。「どうすればいいんだ?」と尋ねると、店主は「雨の日に、傘をさして、彼女に謝るしかない」と答えた。

その日の夜、雨が降り始めた。私は、震える手で傘を持ち、外に出た。雨は、激しく降り注ぎ、視界を遮る。私は、傘をさし、深呼吸をして、言った。「ごめんなさい。あなたの傘を勝手に持ってきてしまって…」

その瞬間、背筋が凍り付いた。目の前に、ぼんやりとした女性の姿が現れたのだ。女性は、青白い顔をして、私を見つめていた。恐怖で体が動かない。

女性は、ゆっくりと手を伸ばし、私の持っている傘に触れた。そして、静かに微笑んだ。次の瞬間、女性の姿は消え、雨も止んだ。

私は、傘を握りしめ、家に帰った。その夜から、あの「カサ…カサ…」という音は、二度と聞こえなくなった。

しかし、それから数日後、私は、また奇妙な光景を目にするようになった。雨の日になると、町中に、同じ傘をさした人々が現れるようになったのだ。彼らは、皆、無表情で、ただ黙々と歩いている。そして、よく見ると、彼らの傘は、私が古道具屋で買った傘と、全く同じものだった。

彼らは、一体何者なのか?そして、彼らは、どこへ向かっているのか?

私は、再び古道具屋を訪ねた。店主は、ニヤリと笑って言った。「彼女は、寂しかったんだよ。だから、仲間を集めたんだ」

私は、言葉を失った。雨の日が、ますます恐ろしくなった。

それ以来、私は雨の日は必ず家に閉じこもるようにしている。窓から外を眺めると、今でも、あの傘の行列が見える。彼らは、雨の中を、どこまでも歩き続けている。そして、私もまた、その行列に加わる日が来るのではないかと、恐怖に怯えているのだ。

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