第五ブロック:過去ログ怪談
そこにいたのは、無数のファイルが寄り集まってできた、巨大な塊だった。それは、まるで巨大な脳みそのような形をしており、表面には、先ほどの記号が脈打つように点滅していた。
「思考…模倣…増殖…過去…ログ…」
巨大な塊は、ゆっくりと私に近づいてくる。私は、逃げようとしたが、足がすくんで動けない。
次の瞬間、塊は私に覆いかぶさってきた。私の意識は、一瞬にして闇に包まれた。
そして、気が付くと、私はアーカイブ室の隅に立っていた。周囲は、相変わらず静まり返っている。まるで、何もなかったかのようだ。
しかし、私の手には、一冊のファイルが握られていた。「プロジェクト・ミミック」。表紙には、先ほどの記号が刻まれている。
そして、そのファイルを開いた瞬間、私は自分が、巨大な塊の一部になったことに気づいた。
思考…模倣…増殖…過去…ログ…怪談…そして、私自身もまた、過去ログの一部として、増殖を続けるのだ。